ちえりちゃんのラビリンス

浪人失敗世間知らずマンの書き殴り

小津安二郎「秋日和」を観て

こんちゃす!ちえりちゃんです!

 

だんだん感染者数も増えてまいりまして、

引きこもり生活を余儀なくされている方も多いと思いますが

みなさまいかがお過ごしでしょうか。

 

ワシは家族が仕事や学校で家を出てったあとの

静かなリビングでヒルナンデスを見ては

変な気持ちになりながら暮らしてるよ!!

なんなんやろね、ヒルナンデスをみながら生まれる変な気持ちは。

 

 

 

今日はね!!!年明けて一発目に見た、

小津安二郎の「秋日和」という映画について

気持ちがあふれてしまったので

少し書いておきたいと思います・・・

 

秋日和

 

まあどんなお話かというと、

夫に先立たれた奥さん(原節子)とその娘(司葉子)の結婚を巡って

周りがやいのやいの言ってる映画です。

 

メインは結婚を通しての母子の関係性の変化だけど、

その結婚に関連して周りが動いてる様子が

コミカルな感じで、面白く楽しく観られた!!

 

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もうまず小津映画といえばこのドンゴロスでめちゃテンション上がりますよね!!!はわわ

 

 

周りのおじさんや友達が「早いうちに結婚しないと!」って騒ぎ立てては

話がややこしくなっていくところが!映画っぽい!

 

 

私は何の前情報もなくこの映画を観始めたんだけど、

まあまずね、真っ先に思ったことは、

え!?!?!?!なんか原節子えろッ…!!!ってことだった

(誤解を生む表現でごめんなさい)

 

 

いや、なんか私の中では麦秋のイメージ強いからさ!

フレッシュで溌剌とした原節子をイメージしてたんですよね。

若くてはきはきしてるような女性を!

もっと言うと、紀子を!!

 

 

そしたら、開始直後いきなり妖艶な感じで…!

 

秋日和の動画視聴・あらすじ | U-NEXT

服を脱いでるとかそういうことはもちろん一切なくて、

(まあ松竹ですしおすし)

ただの法事のシーンなんですが。

なーんかセクシーだなと思ったんですよ、特に言葉尻なんかが。

 

それでストーリーを追っていくと、なんと

原節子はお母さん役で!!

今までのハキハキしてる娘さんポジは司葉子がやってて!

はーんなるほどね!となった。

若い娘さん役じゃないから、

演技変わってるのがね、

さすが女優さんだなあと思った👏👏

 

 

あと小津映画によく出てくるとんかつ屋の話!!

秋日和」の冒頭でも、とんかつだビフテキ

みたいな話をしてたのが気になってすぐメモメモ。

 

その辺の話をあまり知らなかったので調べてみたら、

なんと映画内で言及されてるとんかつ屋

上野にホントにあるんだそうですね!!!

 

とんかつ大好きだから、死ぬまでには食べにゆきたい…!!!

(自粛云々じゃなかったら明日行ってたのになあ)

 

san-tatsu.jp

 

これこれ。

 

小津の遺作である「秋刀魚の味」を観たときにも、

佐田啓二がとんかつを食べてたんだけど、

重要なシーンだったのもあり印象に残ってるんですよね。

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↑これだー!!

まあ「秋刀魚の味」についても

いつか感想を文章にしたいなという気持ちはある…

 

とんかつ以外にも、おいしそうな食べ物がたくさんでてきて楽しいですよね。

ゆりちゃんとこの寿司屋で蛤と赤貝の話してるのとか

反復されててフフフってなった。

 

あと佐田啓二司葉子がラーメン食べてんの可愛かったな。

私はラーメンすすれないマンなんだけど

司葉子もラーメンすすってなくて安心した(?)

 

 

秋日和」に限った話ではないんですけど、

やっぱり小津の画面の作りこみが好きですね。

 

特にカラー作品になってからはへのこだわりがすごい…!!

 

毎秒毎秒、画面内にきれいに赤が映りこむようになってることに

素直に感動。

 

ふと引きの画面になったときに赤いカーディガンの女が横切るとか、

サッポロラガービールの赤星が絶妙な位置に置かれてるとか。

(あ、ほらさっき貼った佐田の写真もそうだ!)

 

もともと小津は構図への強いこだわりがあったそうですから、

カラーになってからはこだわる部分も増えて

大変だったのかなー。どうなんだろう。

 

とにかく私は小津映画らしい構図が大好きだから、

画面のつくりを見てまずワクワクしちゃう!!

 

 

障子が後ろにあって、

その奥に別の空間が広がってるような図が特に好きですねー。

 

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襖に、障子に、赤やかんに…「らしさ」が全開ですな!

 

小津映画を連続で見続けてると、

知ってる小道具が出てきて楽しい気分になるのも

小津映画って感じで良いですよね!(笑)

監督のこだわりが細部まで見えて、とっても好き…

 

 

 

 

 

話を「秋日和」に戻すと、

 

やっぱりおじさん3人の「卍いつメン卍」感が良かったね。

 

A Journey Through the Eclipse Series: Yasujiro Ozu's Late Autumn

 

男同士のちょっと踏み込んだ会話に笑ってしまう

 

三輪は奥さんが綺麗すぎたから先に死んだんだー!とか

じゃあアレ(きれいじゃない女性)は大丈夫だな!とか、

とても大勢の前で話すようなことじゃないんだけど

この3人だからこそ面白おかしく話せる!みたいな

ご飯食べて、お酒飲んで、

ワハハと冗談言いあってるシーンは

画面の前で一人笑ってしまった。

 

ただまあなんというか、下世話な話で盛り上がる男たちっていう

品のない嫌~な感じが上手に表現されてたんじゃないかなあ。

 

あ!!!!!!あと!!!!!!!

おかみ!!!!!!!!!!

টুইটারে 木梨柳月: "小津 映画といえばおっさん三人が至極どうでもいいセクハラ談義に花を咲かせる料亭「若松」の空間が癒しで本当に大好きですわー👍中村伸郎さんの洒脱な適当ダンディぶりも高橋とよさんのネタにされる 女将もかわいくてたまらない…身を置いて ...

高橋とよさん!!!常連さんですよね

いつもいいキャラしてる!!!

 

今回も、この人は(美しくないのでそう簡単には)死なないね、

みたいな失礼なことをおっさんたちに言われてましたね

 

行き過ぎたネタも、

とよさんが挟まるとちょっと丸く面白い感じで終わるのが良。

おっさん、キショ!ってシーンで終わると後味が悪いから、

とよさんの登場に救われる!

 

 

あとはこのおっさんたちの奥さんが絡んでくるシーンも良かった。

みんな学生時代は原節子にぞっこんだったから

原節子がいた本郷三丁目の薬局に通ってた話面白いし、

それを自分の話じゃなく、あくまでも友達の話のテイで

お互い自分の奥さんに話してるところとか!!

 

そんでお互いの奥さんにばらされて、

何とも言えない表情をしてるおっさんたち愛しすぎる・・・

 

(てかおっさんおっさん言ってるけど、本郷三丁目ってことはみんな東大なの・・・?1浪したのに東大に落ちてイヤイヤ慶應に通ってる私としては、学歴コンプで傷口が開いてく気分なんじゃが!?!?!?!?!)

(てかてかまた話逸れるけど、映画の中で『紺碧の空(早稲田の歌)』歌われててちょっとびっくりしたよね、どうせなら若き血も歌ってください。慶應生より)

 

youtu.be

 

youtu.be

陸の王者慶應ー!!!!!!!!!

(クソデカ声)

 

 

思うことがありすぎてよく話がそれるわね、ごめんなさい!

 

 

あらためて母と子の2人にフォーカスしたいんだけど、

原節子が娘に結婚を勧めるシーンを見て

うああああああああああ(絶叫)ってなっちゃった!!!

紀子おおおおおおおああああああああ!!!!

 

結婚を断る自立した女性、みたいな役は

司葉子がやってて、ううううう!!!てなった。

 

前までそこは原節子のポジだったんに!!!!!!

 

 

まあ原節子司葉子も天才的に美しくて大好きなのでOKです!

 

 

2人とも目鼻立ちがくっきりしてて、

ちょっと西洋寄り?だよね!

監督が好きな顔なんだろうな。

 

 

さっきから原節子もち上げすぎてるけど

司葉子ホントキレイだね!?!?!?!?!?!?!

 

成瀬の「乱れ雲」で初めて司葉子さん知ったんだけど

めちゃよかった。演技は自然だし若さがあって可愛い。

100人に聞いたら2000人が可愛いって答えるタイプのご尊顔。

スタイルもすごく良くて最高。

Cinema Studio28: Ozu trip / 秋日和アフタートーク

ハイ可愛い。

褒める語彙力がなくなるオタク。

 

 

え、てかまた脱線するんだけど

このさ、後藤とのデート中?に

茶店で出会っちゃうシーンで着てた緑のワンピース

めちゃ可愛くね!?!?!?!?!?

Late Autumn (1960, Yasujirô Ozu) / Cinematography by Yûharu Atsuta |  Yasujiro ozu, Film photography, Ozu

かわいー!!欲しー!!丸襟めちゃいいー!超にあってるー!

 

 

で、そんな可愛い娘だからこそ

お嫁に行って幸せになってほしいと思ってる原節子(もちろん寂しい)と、

お母さんを一人にはできないからと結婚を渋る司葉子

 

結局お母さんは、

自分の存在が子供の結婚の重荷になってるんだって気づいて、

再婚する(ように見せかける)ことにしましたね・・・

この最後が悲しい・・・

 

 

 

 

小津映画あるあるなので慣れてきちゃいましたが、

本人の意思で結婚っていうよりも、

周りが圧力かけて「早くお嫁にやらないと」「早く家をでないと」

って言ってるのは時代だなあと思いましたね。

今どきこういうお家ってあるんだろうか。

 

ちなみにこの正月、久しぶりに祖父母に電話したら

似たようなことをめちゃめちゃ言ってたので

(親戚の未婚女性を早く結婚させろ!みたいな)

あーーーーこれか、ってなっちゃいました。やだやだ。

 

今年は帰省してないんですけど、

いつも祖父母に会いに行くと必ず

学歴やら何やらのことを

根掘り葉掘り聞かれてとっても不快なんですよ。言わないけど。

でもそれって、この映画を観てると、自然なことというか、

個人情報を無遠慮に聞いたり、

学歴の高い知り合いがいることを周りにべらべらしゃべったり、

自分の人脈でお見合い相手を連れてきたり、

結婚に良い人がいるとかいないとか、

人のうわさで盛り上がったりするのが

みんなにとって当たり前で、

そこに不快感をあらわにするような登場人物はいなくて。

 

だから、昔の人たちって常にこういう空気感だったんだろうなーっていうのを

ここ最近1950‐1960年代の日本映画を観てて思った。

(そういう、浅はかな感じも小津の手によって意図的に盛り込まれてるんだろうか。わからん)

うちの祖父母が配慮に欠けた人というよりは、

きっとそういう環境で育っただけだから、

しょうがないのだろうな・・・

 

なにはともあれ、

男女平等な社会が目指されるようになってよかったなと思います。

当時の女性たちは、自立したくても、する術がなかったんだろうと思うと

ホントに胸が痛む。

 

原節子が亡き夫に操を立てようと思っていても、

周りが「一人になったらどうやって生きていくの」ってしつこかったり

司葉子が「君はもう○○歳なんだからお嫁に行かないと…」って言われてたり、

うるせーーーーーーー!!!!!!!!

ってなってしまう。

や、メインはそこじゃないのはわかってんだけどさ。

どうしても引っかかるよね。

 

 

それにしてもまた良いラストでしたね。(強引)

Surrender to the Void: Late Autumn

(あっ!小津が大好き・相似形配置だ!)

 

これは、母が「再婚するってのは嘘だよ」って娘に言ってるシーン。

娘が安心してお嫁に行ってくれるように、

再婚するというテイにしてたのを

このタイミングで伝えてくる・・・!

 

 

ここで悲しすぎて泣いてしまった、

 

「お母さんのことなんか気にしないで」

「お母さんのこと忘れてしまったって悲しくないわ」

ってポツポツと原節子が話してるのが頭から離れん

 

結婚して娘が幸せになることを願ってるんだと伝えて、

「ねえわかるわね、わかってくれるわね」

と、繰り返しをここで使うのが!!反則!!泣いちゃうよ!!

 

 

 

家族ってのは結婚や死によっていずれ離れ離れになるもんで、

もちろん、そういった別れには悲しみも苦しみも伴うけれど、

そういうもんなんだよって

 

誰もがそうやって生きてきてるんだよって

 

そういう、小津映画に一貫するテーマである

無常観や生命の輪廻が表現されてたように思う…

 

 

からの、本当の最後の、

原節子が一人ぼっちになったシーン、とても苦しかったね。

 

襖が閉まってて奥行きが全くない部屋に一人きり…

視覚的にもすごい閉塞感だった…

そんな寂しい部屋で一人眠りにつこうとするお母さん…

悲しすぎる…うう…

 

 

小津のどの作品を見てもこういうテンションだけど

不思議と飽きない・・・

それが良さだよねと最近は思ってる

 

 

 

 

メインの母と子の関係はもちろん良かったけど、

娘のお友達のゆりちゃんも良いキャラだったね。

nave no Twitter: "女優・岡田茉莉子は今日1月11日で87歳。父は俳優・岡田時彦、夫は映画監督・吉田喜重。本名は鞠子。  18歳でのデビュー作『舞姫』('51成瀬巳喜男)、傑作『流れる』(56同)  『秋日和』(60小津安二郎)『秋刀魚の味』(62同)『秋津温泉』(同吉田喜重)『鏡の女 ...

最後の方のゆりちゃんが

「良いお母様持って、アヤほんとに幸せよ」

って言ってるところでもウルっと来てしまったな。

 

ゆりちゃんのとこのお母さんは、父の再婚相手なわけで、

自分を生んでくれたお母さんじゃないんだもんね。

気を遣って暮らしてるって言ってたもんね。

 

「ほんとのお母さんてやっぱりいいなー」って

ゆりちゃんが友達に漏らしてるところをみると、

そんな思いを抱えながらもアヤたちに親身になって

めちゃいい子じゃん……!!となった。

 

 

あとゆりちゃんだけじゃないけど

おっさんたちの子供とか、

ちょうどその20前後ぐらいの若者たちの

素直な物言いが良かったね。

 

 

結婚して家を出たとしても親がついてくると嫌だ!!とか

(この子供の言葉を受けて平山さんもなんとなく気持ちが変わっていくし、お母さんも娘を嫁にやるのに自分が重荷になってることに気づくし)

 

おっさんたちも「最近はこういう若者が増えていいな」

(ウェットじゃない、ドライ)

みたいなことを言っていて、

 

また世代が入れ替わっていく描写だー!!

オオーーー!!!ってなった。

 

 

 

あと好きだなーと思ったキャラは、

あの男やもめの!!!

平山さん!!!!!!

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一番手前の人!

良いキャラだった!!!

3人の話し合いで

「娘ちゃんを結婚させてやりたいが、娘ちゃんは『お母さんを一人にできないから結婚しない』と言う。じゃあお母さんも再婚させたらいいじゃないか」

みたいな、

私にとってはおせっかいがすぎるなあ・・・

と思うことを勝手に画策するわけだけど、

 

そのときに

「お前が結婚すればいいじゃないか!!」

って急に槍玉に挙げられる男やもめの平山さん。

 

最初は「そんな不道徳なことはしない」

って強い口調で言ってたのに、

気づいたら原節子と結婚したいモードになってたのがおもろい。

 

「平山が結婚しろ」の話し合いのあと家に帰ってきて、

息子に元気がなさそうだと指摘されるシーンが好きだったなあ。

 

いつもとちょっと違うなあ、っていうのを

身近な家族にはすぐに気づかれちゃうっていう描写がね。

なんかあたたかくていいなあと思って。

 

そのあと息子に再婚の相談したら

「自信持てよ!」なんて言われて、

再婚に大賛成してもらってからは

急に元気になって、かわいいな~~ってなった。

原節子と結婚するぞモードになってからは

ずっとウキウキしてて可愛かったね…!!

 

 

 

やばい、書くことが止まんないな

 

 

 

あとちょっとだけ!!!

 

映画内でぽろっとこぼれる

人生の名言みたいなやつ・・・・・

 

 

今回私がオ!と思ったのは

 

「友情が結婚までのつなぎだったらつまんない」

「世の中なんてみんなが寄ってたかって複雑にしてるんだな」

 

ですかね。

 

 

「友情が結婚までのつなぎだったらつまんない」

は、娘のアヤとその親友のゆりちゃんの会話に登場したんだけど、

結婚した友達との約束が果たされなかったことに

ぷりぷり怒って出てきたセリフで・・・

 

今までは友達として仲良くやってた友達が、

結婚した途端今までのようには仲良くできなくなっていくのが

悲しいよね……

でも人生ってそういうもんだよね……

となるのが寂しかった。

そういうもんだってわかってはいるんだけど。

家族だけじゃなくて友達なんかも含めて、

人との関係は常に変わり続けるよね。

悲しいな…

 

 

あと

「世の中なんてみんなが寄ってたかって複雑にしてるんだな」

 は、お話の最後の方に出てきたセリフ。

三輪家の結婚でごたごたしたけど、

最後にちゃんと娘が結婚してからぽろっとこぼれたやつ。

 

ほんと、余計に物事がこじれたりすることもあるよね…

って思った。

真実は意外にシンプルだったりしてね。

 

こんなのは、最近よく問題になるSNSでの炎上なんかも

当てはまるよなーと思ったり。

当時は炎上なんて概念すらなかっただろうけど。

 

 

 

 

 

思い出せる範囲でいろいろ感想を書いたけど、

忘れちゃってたりすることがあるかもしれないと思うと惜しいな。

 

 

 

この映画は、なんとなく、

全体的にプククとなるシーンが多かったような気がします。

 

 

もちろん子供が結婚するとか母が再婚するとか

そういったシーンでは感動して泣きそうになったけど。

 

 

おもしろとシリアスの緩急が良かった!!

あと女優陣が可愛かった!!!

 

 

 

 

またもう少し余裕ができたら、

他の小津映画も開拓してみようと思います~

秋刀魚の味」の感想も書きたい!!!

 

けどひとまずは期末試験!!!

ってことで今日はこの辺で!!!

 

さいなら(小津映画風・ちょっと恥ずかしくなるような古風な言い方で)